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味覚超入門：五味と「香り」を意識して感じ分けるトレーニングの第一歩

Tags: 味覚トレーニング, 初心者向け, 五味, 香り, 嗅覚, トレーニング方法

味覚に自信がないと感じている方も、料理の味をもっと深く理解したいと考えている方も、味覚トレーニングは誰にでも始めることができます。味覚と聞くと、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味といった「五味」を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん五味は味の基本となる大切な要素ですが、実は、私たちが「美味しい」と感じる味わいは、五味だけでなく、香りや食感、温度など、様々な要素が複雑に組み合わさって生まれています。

特に「香り」は、味の印象を大きく左右する重要な要素です。コーヒーを飲む時、パンを焼く時、果物を食べる時など、私たちは意識せずとも様々な香りを感じています。この「香り」と味覚を結びつけて意識することで、料理の味わいをより豊かに感じ取ることができるようになります。

この記事では、味覚トレーニングの最初のステップとして、五味に加えて「香り」を意識して感じ分けるための具体的な方法をご紹介します。身近な食品を使った簡単なトレーニングですので、ぜひ気軽に試してみてください。

味覚と「香り」の関係性とは

私たちが「味」として感じているものの多くは、実は「風味（Flavor）」と呼ばれるものです。風味は、舌で感じる基本的な五味と、鼻で感じる「香り」が合わさって生まれます。鼻で感じる香りは、食べ物を口に入れる前に鼻から吸い込む「外鼻嗅」、そして食べ物を口に入れた後に鼻の奥へと抜けていく「内鼻嗅（口中香）」があります。

この味覚（舌）と嗅覚（鼻）からの情報が脳で統合されることで、私たちは食べ物の「美味しい」という感覚を得ています。例えば、風邪をひいて鼻が詰まっている時に「味がよく分からない」と感じた経験はありませんか。これは、嗅覚がうまく働かないことで、味覚だけでは風味を十分に感じ取れないために起こります。

このように、「香り」を意識することは、味覚そのものをより深く理解し、料理の味わいを多角的に捉える上で非常に重要です。

五味と香りを意識する超入門トレーニング

それでは、具体的にどのように五味と香りを意識すれば良いのでしょうか。身近な食品を使った、すぐに始められる簡単なトレーニング方法をご紹介します。

トレーニングの前に準備すること

具体的なトレーニング例

  1. コーヒーやお茶を味わう

    • ステップ1：香りを意識する
      • 淹れたてのコーヒーやお茶を用意します。まず、カップに鼻を近づけ、立ち上る香りをゆっくりと吸い込みます。「フルーティーな香り」「香ばしい香り」「草っぽい香り」など、どのような香りを感じるか意識してみましょう。
    • ステップ2：味わいを意識する
      • 一口含み、舌全体で転がすように味わいます。「苦味」「酸味」「甘味（わずかに）」といった五味の要素を意識します。
    • ステップ3：香りとの関連性を感じる
      • 飲み込んだ後、鼻から抜ける香り（口中香）を感じてみます。ステップ1で感じた香りと比べてどうですか。香りが味にどのような影響を与えているか、考えてみましょう。

  2. 果物を食べる

    • ステップ1：香りを意識する
      • りんごやみかん、バナナなど、香りがはっきりしている果物を用意します。食べる前に、皮ごと、または切った断面の香りを深く吸い込みます。どのような香りがするか、言葉にしてみましょう。
    • ステップ2：味わいを意識する
      • 一口食べます。「甘味」「酸味」「苦味（皮や種子に近い部分）」といった五味を感じ取ります。食感（シャキシャキ、とろりなど）も同時に感じてみましょう。
    • ステップ3：香りとの関連性を感じる
      • 口の中で咀嚼している時や、飲み込んだ後に鼻に抜ける香り（口中香）を意識します。果物の甘味や酸味といった味覚と、香りが組み合わさってどのような「風味」になっているかを感じてみましょう。

  3. チョコレートを味わう

    • ステップ1：香りを意識する
      • 板チョコレートを用意します。割る前に香りを嗅いでみます。カカオの香り、甘い香りなど、感じられる香りを意識します。
    • ステップ2：味わいと食感を意識する
      • かけらを一口含みます。すぐに噛まずに、舌の上で溶かしてみましょう。口溶け（食感）の変化を意識します。同時に「苦味」「甘味」「うま味（カカオ由来）」といった味を感じ取ります。
    • ステップ3：香りとの関連性を感じる
      • 口の中で溶けていくにつれて、チョコレートの複雑な香り（バニラ、ナッツ、フルーツなど、製品によって多様）が広がります。この口中香と、舌で感じる味が組み合わさって、どのように感じられるかを意識します。

感じたことを言葉にする練習

味覚や香りのトレーニングでは、「感じたことを言葉にしてみる」ことが非常に大切です。最初は難しく感じるかもしれませんが、簡単な言葉から始めてみましょう。

最初は「なんとなく」「形容しがたい」と感じることもあるかもしれません。それでも構いません。少しずつ意識し、言葉にしようと努めることが、味覚を磨く第一歩となります。

このトレーニングがもたらすもの

五味と香りを意識して味わうトレーニングを続けることで、以下のような変化を感じられるはずです。

まとめ

味覚を磨くことは、決して難しいことではありません。まずは今回ご紹介したように、五味と「香り」を意識して身近な食品を味わうことから始めてみましょう。これは、あなたの味覚の感度を高め、味の違いを言葉で表現できるようになるための大切な第一歩です。

焦る必要はありません。日々の食事や飲み物を少しだけ丁寧に味わう時間を設けることから、味覚トレーニングは始まります。五味と香りを意識することで、きっとこれまで気づかなかった「美味しい」の世界が広がっていくことでしょう。